2023/02/03
乳がん検診でよく使われる装置としてマンモグラフィーがあります。このマンモグラフィーというのは、簡単にいえば胸のエックス線撮影装置のことで、上下に挟むようにしてひきのばした状態で撮影するところに特徴があります。これは、なるべく放射線に当てないようにしながら、人体の内部のようすをくわしく観察するための工夫となっています。一般に、撮影は上下左右それぞれの方向から行うため、合計4枚ほどの画像が得られます。
乳がん検診にこのマンモグラフィーを使うことによって、医師による触診ではわからないような、がんによるしこりを発見することができ、早期の治療に結びつけることができます。特に、乳がんの初期の段階でできることの多い、微細な石灰化とよばれる現象をとらえるのには、このマンモグラフィーが適しています。こうしたマンモグラフィーによる検査をともなう乳がん検診は、基本的には40歳以上の女性に限定されることが多いといえます。これは、それよりも前の年齢の若い女性では、乳腺が発達しすぎていてマンモグラフィーで鮮明な画像を撮影することができず、しばしば乳がんの陽性の判定を誤ってしまうおそれがあることに加え、こうした世代では乳がん検診の有効性が確認されていないという事情によります。
40歳以上の女性については、たとえマンモグラフィーによる誤った判定などのリスクを差し引いたとしても、乳がんの早期発見によるメリットのほうが大きいことから、あえてこの世代を対象としているのです。